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豊田 智史*; 吉村 真史*; 住田 弘祐*; 三根生 晋*; 町田 雅武*; 吉越 章隆; 吉川 彰*; 鈴木 哲*; 横山 和司*
放射光, 35(3), p.200 - 206, 2022/05
大気圧光電子分光(AP-XPS)に立脚する多層積層薄膜界面の時空間深さ方向解析法の開発状況を述べた。初めに、時分割近大気圧硬X線角度分解光電子分光データによる深さ方向解析を行った。次に、空間分解能が備わった時分割角度分解AP-XPSデータの高速ピークフィッティングによる深さ方向解析法へ発展させ、酸化還元反応条件下での時空間深さ方向解析を実現した。また、スパースモデリングのジャックナイフ平均を組み合わせた、従来型の最大エントロピー法(MEM)が高い精度で深さ方向分布の動態計測に有効であることを述べた。
江坂 文孝; 野島 健大; 鵜殿 治彦*; 間柄 正明; 山本 博之
Surface and Interface Analysis, 48(7), p.432 - 435, 2016/07
被引用回数:16 パーセンタイル:39.42(Chemistry, Physical)X線光電子分光法(XPS)は、固体試料の非破壊化学状態分析に広く用いられている。この方法では、イオンビームスパッタリングを併用することにより深さ方向分析が可能である。しかし、スパッタリングはしばしば偏析や選択的な原子の放出を引き起こし、正確な情報が得らえない場合がある。一方、放射光からのエネルギー可変X線の利用は、スパッタリングなしでの深さ方向分析を可能とする。本研究では、放射光X線を励起源としたXPSおよびX線吸収分光法(XAS)による深さ方向分析法について、MgSi単結晶の表面酸化層の分析を例に、検討を行った。その結果、本法により非破壊での深さ方向分析が可能であり、MgSi単結晶の表面酸化層としてSi-OあるいはSi-O-Mg層が形成されることがわかった。
小畠 雅明; 小林 啓介*
Journal of the Vacuum Society of Japan, 58(2), p.43 - 49, 2015/02
大きな検出深さを持つ硬X線光電子分光装置を利用した界面反応領域の深さ方向分析手法、及びこれを活用した金属電極/絶縁膜/半導体ゲートスタック構造などの多層構造に埋もれた界面の化学結合状態と電子状態について紹介する。
斉藤 健; 山本 博之; 朝岡 秀人; 原口 雅晴*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 田中 智章*; 島田 広道*; 北條 喜一
Analytical Sciences (CD-ROM), 17(Suppl.), p.1073 - 1076, 2002/03
放射光を利用したX線光電子分光法(SR-XPS)を用い、-FeSi生成過程におけるSi,Feの深さ方向組成分布の解析を試みた。Si(111)基板表面に室温で100Å Feを蒸着し、723Kでアニールを行うことにより、-FeSi薄膜の作成を試みた。励起X線エネルギー200~1000eVの範囲でFe/Si比の励起X線エネルギー依存性を解析した。IMFP値を用いたFe,Siの深さ方向分布シミュレーションの結果と実験により得られたFe/Si比とを比較した結果、Fe蒸着後のアニールにより、Siが表面のFe相中に次第に拡散することが明らかとなった。Fe 2p XPSスペクトル,価電子帯光電子スペクトルそれぞれを測定した結果、723Kのアニールでは-FeSiの生成は起こらず、相のみの生成が確認された。973Kでアニールを行った場合には-FeSiの生成が確認され-FeSi生成には、より高温でのアニールが必要であることが明らかになった。
斉藤 健; 山本 博之; 原口 雅晴*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 田中 智章*; 島田 広道*; 北條 喜一
Photon Factory Activity Report 2001, (19), P. 205, 2001/00
放射光を利用したX線光電子分光法(XPS)を用い、-FeSi生成過程におけるSi, Feの深さ方向組成分布の解析を試みた。Si(111)基板表面に室温でFeを蒸着後、523K, 723K, 973Kと段階的にアニールを行い、Si/Fe組成の変化の様子を放射光を用いたXPSにより解析した。励起X線エネルギー2001000eVの範囲でFe/Si比の励起X線エネルギー依存性を解析し、深さ方向分布の解析を行った。実験結果とIMFP値を用いたFe, Siの深さ方向分布シミュレーションの結果と比較した結果、室温でFe蒸着後のアニールを行うことにより、Siが表面のFe相中に次第に拡散することが明らかとなった。その際、Fe層は基板表面に島状構造を形成することも、同時に明らかとなった。また、シミュレーションの結果、島状構造をしたシリサイドは、基板表面50%程度覆っていることも明らかとなった。
山本 博之; 馬場 祐治
Journal of the Korean Vacuum Society, 9(S2), p.84 - 88, 2000/11
X線光電子分光法(XPS)の測定において、電子の脱出深さは光電子の運動エネルギーに依存する。エネルギーが可変である放射光を利用すれば光電子の運動エネルギーを変化させ、電子の脱出深さを変化させることが可能である。この原理をもとに、われわれは放射光を用いた高エネルギーXPS(X線エネルギー範囲: 1.8~5keV)により非破壊で深さ方向分析を行う手法を開発した。本発表においてはSi熱酸化膜、酸素イオン注入層の深さ方向分析などに関する従来までの研究内容を紹介すると同時に、Al/Si界面、Ge,Ga/As酸化膜の評価などに関する最新の研究成果を述べ、本手法が化学状態に関する情報を含む深さ方向分析法として有効であることを報告する。なお、本講演・論文は表面分析研究会からの招待により、韓国・慶州で開催される第3回韓日表面分析国際シンポジウムにおいて発表されるものである。
山本 博之; 馬場 祐治
Journal of Surface Analysis, 7(1), p.122 - 127, 2000/03
深さ方向分析が非破壊で可能であれば、そのメリットは非常に大きい。XPS(X線光電子分光法)は非破壊法であるが、分析深さは一定であり、通常の方法では深さ方向分布は得られない。XPSの分析深さは光電子の脱出深さに依存しており、その脱出深さは光電子の運動エネルギーによって変化することから、エネルギー可変の放射光(1.8~6.0keV)を励起源として用いると、それぞれのエネルギーに応じて分析深さが変化することが期待される。本研究では種々の励起エネルギーでSi酸化膜のXPSスペクトルを測定し、その分析深さを変化させて測定を行った。これらの結果から、Si(100)基板上のSiO熱酸化薄膜、Oイオン注入層について、表面数mm程度の領域における深さ方向分布を化学状態を含む形で非破壊的に得た。本法は、従来までの深さ方向分析に加えて新たな情報を提供する手法と考えられる。
山本 博之; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, P. 136, 1999/11
光電効果により放出される電子の脱出深さは、電子の運動エネルギーに依存する。我々は従来まで、この傾向をX線光電子分光法に応用し、固体表面の非破壊深さ分析を試みてきた。これに対し、X線吸収端微細構造法(XANES)を用いると、より微量での化学状態分析が非破壊で可能になると期待される。一方、本法は定量的な情報が得られにくい、ある深さからの情報のみを取り出すことが難しい、などの理由により深さ方向分析は困難と考えられてきた。本研究においては、XANESを用いて深さ方向に関する情報を得ることを目的とした。Si上に生成したSiO薄膜の測定結果から、測定する電子の運動エネルギーを変化させた場合、XANESスペクトルのSiO/Si比は系統的に変化することから、深さ方向の情報が得られることを明らかにできた。
山本 博之; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Photon Factory Activity Report, (13), P. 352, 1995/00
高エネルギー物理学研究所放射光施設(KEK-PF)が発行する年度報告書(PF Activity Report)用の原稿である。ここでは、X線光電子分光法(XPS)における分析深さが光電子の運動エネルギーに依存することを利用し、Oイオン注入したSi(100)の深さプロファイルを求めた結果について述べた。
浜田 祐二*; 河西 俊一; 西井 正信; 清水 雄一; 杉本 俊一; 江間 喜美子*; 山本 忠史*
J. Photopolym. Sci. Technol., 6(3), p.385 - 392, 1993/00
エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)のエキシマレーザー光(ArF,KrF)照射によって誘起される化学変化を、ETFE全体については、紫外吸光光度法、赤外分光法によって調べ、ETFE表面については、X線光電子分光法を用いて調べた。ArFレーザー光照射によってETFE全体に二重結合が生成し、KrFレーザー光照射ではETFEは炭化した。一方、ETFE表面では、KrF及びArFレーザー光照射によってともに酸化物が生成した。このように、ETFE表面の化学反応は、全体での反応と異なることがわかった。また、レーザー光照射後のETFE表面について深さ方向分析を行い、レーザー光照射に伴う酸化反応は、表面に近い部分ほど進んでいることを見出した。この現象は、空気中の酸素の存在に起因しているものと結論した。
堀 信彦*; 江坂 文孝; 鵜殿 治彦*
no journal, ,
マグネシウムシリサイドは室温において約0.6eVのバンドギャップエネルギーを持つ間接遷移型半導体であり、受光素子への応用が期待できる。本研究では、スパッタエッチング法を用いてMgSi結晶中の拡散係数を評価し、Ag拡散深さを制御することにより素子の高感度化を図った。その結果、拡散深さが20mになるように作製したダイオードの場合、80mと比べておよそ4倍の感度向上に成功した。
関口 哲弘; 横山 啓一; 矢野 雅大; 朝岡 秀人; 鈴木 伸一*; 矢板 毅
no journal, ,
セシウムCs-135のレーザー同位体分離における回収過程において、CsI分子は吸蔵されず、レーザー照射により生成する原子状Csのみが選択的に吸蔵される必要がある。本研究においては吸蔵材料としてフラーレンCを選び、X線光電子分光(XPS)法を用いて固体中Csの濃度深さ分布を評価した。CsまたはCsIをC表面に吹き付けた試料について電子放出角度の依存性とX線励起エネルギー依存性を測定した。CsとCsIにおいて励起エネルギー依存性に違いが観測された。Csでは深く固体内に深く浸透する分布により説明された。一方、CsIは固体内に浸透しないことが結論された。